Vol.4 スターダンサーズ・バレエ団『ステップテクスト』
2021年8月28日(土)から日本最大級のダンスフェスティバル「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021」が開催中です。
9月18日(土)に神奈川県民ホール大ホールで行われる「International Choreography × Japanese Dancers ~舞踊の情熱~」が迫ってきました。
世界的振付家の名作に日本のダンサーが挑戦するプログラムです。
今回はスターダンサーズ・バレエ団の『ステップテクスト』をご紹介します。
この作品を振付したウィリアム・フォーサイス(1949~)はアメリカ出身で、現代バレエの大家です。
ドイツのシュツットガルト・バレエ団在籍時から振付を始め、のちにフランクフルト・バレエを30年にわたって率いました。
クラシック・バレエをベースとしつつ、それを解体・再構築した動き。ハードで研ぎ澄まされた独自の美を打ち立て、バレエの概念を変えました。
フォーサイスはバレエ界の寵児となり、その作品はパリ・オペラ座をはじめとした世界各地のバレエ団のレパートリーに入っています。
そうしたフォーサイスのスタイルをよく表したのが『ステップテクスト』です。
1984年にフランクフルト・バレエで初演された『アーティファクト』の第2部からピックアップされた作品で、1985年にイタリアのアテルバレットで初演されました。
バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番「シャコンヌ」が印象深く用いられ、女性1人、男性3人が、時にシャープに、時にしなやかに緊密なダンスを繰り広げます。「シャコンヌ」と繊細に変化する照明とともに生み出される傑作です。
スターダンサーズ・バレエ団が『ステップテクスト』を日本のバレエ団として初めて上演したのは1997年。以後再演を重ね、今年2021年3月にも上演しています。
演出・振付指導はフォーサイス作品に通じたアントニー・リッツィーです。
スターダンサーズ・バレエ団の創立は1965年。創設者の太刀川瑠璃子さん(故人)は、日本のバレエの創造に心血を注ぐと同時に、20世紀の名作バレエを日本に紹介してきました。
アントニー・チューダー、ジョージ・バランシン、ジェローム・ロビンズ、クルト・ヨース、ケネス・マクミラン、それにフォーサイスといった、そうそうたる巨星の作品です。
そして、現在の総監督・小山久美さんの時代になっても、常任振付家である鈴木稔さんの作品など新たなレパートリーを拡充しながら20世紀の名作群を紹介しています。
現代作品の上演に定評のあるバレエ団が、「舞踊の情熱」のコンセプトをソロ、デュオではない形で具現化する舞台にぜひご注目ください。
『ステップテクスト』
振付:ウィリアム・フォーサイス
演出・振付指導:アントニー・リッツィー
出演:スターダンサーズ・バレエ団(渡辺恭子、池田武志、石川聖人、林田翔平)
音楽:J.S.バッハ