Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2021

ディレクター挨拶

昨年来のパンデミックにより、世界中で数えきれないほどの公演が中止や延期となりました。また国と国、地域と地域の境が封じられ、南仏に住む僕も自由に帰国できない状況が続いています。

 

しかし、だからこそ僕たちは、リモートで繋がることを始めました。オンラインでレッスンしたりアーティスト同士がコラボレーションを試みたり、国やカンパニー等の枠を超えて助け合う中で、新たな価値を次々と生み出しています。

そんな“今”だからこそ見たいもの、見せられるものとは何だろう?

そう考えた時、Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021のコンセプトが、はっきりとした輪郭を持ちました。

 

今回のフェスティバルでは、皆様に“日本のダンスの現在地”をご覧いただきます。

海外からのアーティスト等は招聘せず、日本のカンパニーが垣根を超えて手を携え、舞踊の“今”を担うダンサーたちが踊ります。

古典バレエの代名詞「白鳥の湖」。ベジャール、プティ等20世紀の巨匠たちによるマスターピース。ダンスの可能性を拓く現代作品。これほど広く深い舞踊の世界に、今の日本のダンサーたちならば十全に挑むことができる。この国のダンスがどれだけの水準にあるのかを、ぜひ皆様の目で確かめてください。

 

その他、創作落語と名作バレエのコラボレーションや、若い世代に人気のアーティストによるエネルギッシュなステージもお楽しみに。また今回は僕自身も踊ります。50代を迎え、身体と向き合うために近藤良平さんと企画した「エリア50代」や、金森穣さん率いるNoism Company Niigataとともにクリエーションする世界初演作をお目にかけます。

 

そしてもちろん、ダンスはプロフェッショナルだけのものではありません。市民の皆様と一緒にステージをつくる「横浜ダンスパラダイス」や、プロのダンサーが学校や地域へ出向き、子どもたちに踊る楽しさを伝えるワークショップ等。国籍、世代、性別、障害……全てを越えて、誰もが楽しめるプログラムを続々と開催していきます。

 

ダンスって何だ? 舞台って何だ? 自分はなぜ踊るのか?

 

僕はダンサーとして、表現者として、舞台に立ち続けたい。

このフェスティバルに出演するみなさんも、同じ様に心の底から欲していることではないでしょうか。

 

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021へようこそ。

舞台を観る喜び、踊る楽しさ、表現できる幸せを、ぜひご堪能ください。

横浜を舞台に、皆様とダンスで繋がれますことを、心待ちにしています。

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021 ディレクター

小林十市(ダンサー・振付家)

小林 十市

(こばやし じゅういち)

ダンサー・振付家

1969年生まれ。1979年に小林紀子バレエシアターでバレエを始める。
数々の賞を受賞し、1989年、スイスのベジャール・バレエ・ローザンヌ(BBL)に入団。
『春の祭典』、『火の鳥』、『くるみ割り人形』、『シエラザード』など数多くの
ベジャール作品に出演。BBLを退団後、世界各国のバレエ団にベジャール作品の振付・指導を行っている。2004年『エリザベス・レックス』で俳優デビュー。
以後、テレビドラマや映画、ラジオなどに出演するなど俳優、ダンサー、振付家として活躍。現在はフランスを拠点に後進の指導にあたっている。
祖父は落語界初の人間国宝、故・五代目柳家小さん、弟は噺家・柳家花緑。
アイコン画像:上矢印